「ICT施工 用語解説集(2017年版)」
●全般
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(全般) | |
建設ICT | 情報通信技術すなわちICT (Information and Communications Technology)」を活用 した合理的な生産システムを建設施工に導入すること。「建設ICT」により、効率的 な施工、施工品質の向上などを図るばかりでなく、調査・設計段階、維持管理及び 修繕などの一連の建設生産システム全体として効率的・効果的な管理及び実施が 期待されている。 |
CIM | CIM(Construction Information Modeling)は、建築分野におけるBIMの概念を土 木分野に適用した概念を指し、調査・計画から設計、施工、維持管理までの建設事 業に係わる情報をモデルの属性として共有するワークフローであり、国交省が CALS/ECの拡張進化系として進めている。 |
BIM | BIM(Building Information Modeling)は、構造物を3次元形状でモデリングし、部材 情報や施工手順などを属性として持たせることで、構造物の干渉チェック、数量の 自動算出、意匠の確認、構造シミュレーションを実現しており、建築分野や橋梁等 の構造物における分野で活用が進められている。 |
情報化施工 | 情報化施工は、建設事業の調査、設計、施工、監督・検査、維持管理という建設生産プロセスのうち「施工」に注目して、I C T の活用により各プロセスから得られる電子情報を活用して高効率・高精度な施工を実現し、さらに施工で得られる電子情報を他のプロセスに活用することによって、建設生産プロセス全体における生産性の向上や品質の確保を図ることを目的としたシステム |
i-Construction | 建設現場の生産性を、情報化施工やサプライチェーンマネジメント、継続的な「カイゼン」などの視点で向上させる施策。トップランナー施策として①ICTの全面的な活用(ICT土工)②全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化など)③施工時期の平準化を打ち出し、すべての建設現場でこうした取り組みを浸透させるねらいがある。調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新のあらゆる建設生産プロセスで、3次元データを一貫して活用するために、公共測量マニュアルやデータ交換標準、管理要領などの新基準が導入された。 |
無人化施工 | 建設工事を遠隔地より安全かつ円滑に行う技術。ラジコン装置等を取り付けた建設機械群をオペレータが遠隔地より操作することで安全性を確保し、工事を支援するシステム群により作業効率の向上を目指している。技術は、施工方法の検討や遠隔操作、映像・データ伝送、施工管理・支援などで構成される。 |
●情報化施工
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(情報化施工) | |
ICT建設機械 | ICT建設機械とは、一般には以下に示す3D、2Dの建設機械の総称として用いるが、施工履歴データによる 土工の出来高算出要領(案)では、施工中の建設機械の作業装置位置の3次元座標を取得することができる3DMC、3DMG及びTS・GNSS締め固め管理システムを搭載した建設機械を「ICT建設機械」という。 |
【ICTブルドーザ】 | 3DMC・3DMGを搭載したブルドーザをいう。 |
【3DMC・3DMGブルドーザ】 | 作業装置下端または履帯下面の3次元座標をTSまたはGNSSによる測位から求めて建設機械本体に搭載するMC・MG用の3次元設計データと比較した結果で作業装置の高さや傾きを自動制御(MC)、またはモニターによりガイダンス(MG)するブルドーザをいう。 |
【2DMC・2DMGブルドーザ】 | 回転レーザーから照射されるレーザー光をブルドーザ作業装置に設置した受光器で捉えることによって、作業装置高さをレーザー面にあわせて自動制御(MC)、またはモニターによりガイダンス(MG)するブルドーザをいう。 |
【ICTバックホウ】 | 3DMC・3DMGを搭載したバックホウをいう |
【3DMG・3DMCバックホウ】 | 作業装置先端の3次元座標を建設機械本体に搭載する3次元設計データと比較し、その結果をモニターによりガイダンス(MG)するバックホウをいう。測位は、バックホウ背面に取り付けたGNSSアンテナまたはTSターゲットとブーム、アーム、バケット、本体に取り付けた傾斜センサ等の情報から作業装置先端の座標を計算する。コントロールボックスから油圧を制御して、バケットの位置を設計面に沿わせる3DMCバックホウも開発されている。 |
【2DMGバックホウ】 | ブーム、アーム、バケットに装着したスロープセンサーによりバックホウの姿勢を求めて、基準位置(切り出し位置)からセットした設計断面形状(法面勾配等)とバケットの位置関係をガイダンスモニターに表示するバックホウをいう。 |
【ICT締固め機械】 | TS・GNSS締固め管理システムを搭載した締固め機械をいう。 |
【施工履歴データ】 | ICT建設機械の車載PCのログファイルに記録された、施工中のICT建設機械作業装置位置の3次元座標、取得時刻、その他機械の状態等の記録をいう。 |
【操作支援システム】 | ICT建設機械に搭載されている、作業装置の自動制御やモニターによりオペレータへの操作支援を行うとともに、作業装置位置の3次元座標や建設機械の作業状態の情報を記録しているシステムをいう。 |
マシンコントロール | 建設機械に搭載する情報化施工機器により、建機作業装置位置と設計位置(目標 位置)を元に、排土板等を自動的に制御るシステムで、代表的な機械として、ブルドーザ、モータグレーダ、アスファルトフィニッシャがある。 |
【2D(三次元)マシンコントロール 】 | 回転レーザのレーザ光や、建機の基本姿勢情報に従って、建機の排土板等を自動的に制御するシステムである。 |
【3D(三次元)マシンコントロール 】 | 建設機械に搭載する三次元設計データと、TSやGNSSによる測位情報を元に、建設機械位置での設計形状をコンピュータで求めて、リアルタイムで差分を計算し、排土板等を自動的に制御するシステムである、建機のオペレータは運転操作のみを行うものである。 |
マシンガイダンス | 建設機械に搭載する情報化施工機器により、建機作業装置位置と設計位置(目標 位置)との位置関係を表示するシステムで、オペレータはこの情報を確認しながら 建設機械を操作する。 |
【2D(二次元)マシンガイダンス】 | 回転レーザのレーザ光や、建機の基本姿勢情報に従って、目標形状と建設機械作業装置との高さ関係を表示するシステムである。建機のオペレータは表示された情報を丁張りとして利用し運転操作を行う。 |
【3D(三次元)マシンガイダンス 】 | 建設機械に搭載する三次元設計データと、TSやGNSSによる測位情報を元に、建設機械位置での設計形状をコンピュータで求めて、リアルタイムで差分を計算し位置関係をモニタ表示するシステムである。建機のオペレータは表示された情報を丁張りとして利用し運転操作を行う。 |
重機キャリブレーション | ICT装置を重機に取り付ける際、重機可動部分のヒンジ間距離を計測してシステムに入力したり、油圧コントロール制御を精密に調整することを「キャリブレーション」と呼ぶ。 |
トータルステーション(TS) | トータルステーション(Total Station)の略。1 台の機械で角度(鉛直角・水平角)と距離を同時に測定することができる電子式測距測角儀のことである。計測した角度と距離から未知点の座標計算を瞬時に行うことができ、計測データの記録および外部機器への出力ができる。標定点、検証点の座標取得、および実地検査に利用される。 |
【ノンプリズム】 | TS測量用プリズムを使用しないで、対象物に直接レーザを照射して測量する手法。 |
【データコレクタ】 | TSに接続して使用するモバイルPCを指すもので、TSの測量ソフトウェア等を搭載 するとともに、測量結果データを記録する。TSとの接続方法は、有線のほか、無線 通信が可能なものがある。 |
【ピンポール】 | TSによる測定時、プリズムを固定している金属製の棒。 |
【プリズム】 | TSによる測定時に測定対象物上に設置する目標物。ピンポールと呼ばれる棒状の標尺の決まった高さに設置して使用する。ミラーとも呼ばれる |
【出来形管理用TS】 | 現場での出来形の計測や確認を行うために必要なTS、TSに接続された情報機器(データコレクタ、携帯可能なコンピュータ)、及び情報機器に搭載する出来形管理用TSソフトウェアの一式のこと。広義の意味で、周辺ソフトウェア(基本設計データ作成ソフトウェア、出来形帳票作成ソフトウェア)も含めて称する場合もある。 |
締め固め・転圧管理 | |
【TS 締固め管理システム】 | 基準局(座標既知点)、移動局(締固め機械側)、管理局(現場事務所等)で構成されるTS を用いた盛土の締固め管理をおこなうシステムの総称。現場の座標既知点(基準局)にTS を設置することにより、締固め機械(移動局)に装着した全周プリズムを追尾し、締固め機械の位置座標を計測する。座標データは、無線等により車載パソコンに伝達され、このデータを用いてモニタに締固め位置、回数を表示する。 |
【GNSS 締固め管理システム】 | 基準局(座標既知点)、移動局(締固め機械側)、管理局(現場事務所等)で構成されるGNSS を用いた盛土の締固め管理をおこなうシステムの総称。座標既知点(基準局)に設置した GNSS から位置補正情報を締固め機械(移動局)に伝達し、移動局側の GNSS 受信機で基準局からの補正情報を用い、移動局の位置座標を求める。座標データは、無線等により車載パソコンに伝達され、このデータを用いてモニタに締固め位置、回数を表示する。 |
【管理ブロックサイズ】 | 施工範囲を(締固めを行う域内)を、使用する締固め機械により定められたサイズの正方形の領域に分割したもの。 |
【日常管理帳票】 | 受注者が品質管理のために作成・保管する帳票で、盛土材料の品質記録(搬出した土取場、含水比等)、まき出し厚の記録、締固め回数の記録(締固め回数分布図、走行軌跡図)等の施工時の帳票のことをいう。 |
【品質管理資料】 | 受注者が品質管理のために、作成・保管する日常管理帳票及び締固め回数管理で得られるログファイル(締固め機械の作業中の時刻とその時の位置座標を記録するもの)等の締固め施工管理の資料全体のことをいう。 |
【締固め回数分布図】 | 締固め管理システムで自動作成されるもので、締固め範囲の全面を確実に規定回数だけ締固めたことを視覚的(色)で確認するための日常管理帳票の一つ。 |
【走行軌跡図】 | 締固め回数分布図と対となって自動作成されるもので、締固め回数分布図の信頼性及びデータ改ざんの有無を確認するための日常管理帳票。 |
【ログファイル】 | 締固め回数管理で得られる電子情報で、締固め機械の作業中の時刻とその時の位置座標を記録したもの。電子データで提出する。 |
●測量
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(測量) | http://www.gsi.go.jp/LAW/G2000-g2000faq-i.htm |
世界測地系 | 世界測地系とは、VLBIや人工衛星を用いた観測によって明らかとなった地球の正確な形状と大きさに基づき、世界的な整合性を持たせて構築された経度・緯度の測定の基準で、国際的に定められている測地基準系をいう。地球の重心に中心を置き、地球の球体に合わせて座標を配分している。 |
日本測地系 | 日本測地系とは、わが国だけの観測で明治時代に構築した、地球上の位置を経度・緯度で表わすための測地基準系をいう。測量法改正により日本測地系2000に移行された。 |
測地成果2000 | 測地成果2000での経度・緯度は、世界測地系であるITRF94座標系(国際地球基準座標系)とGRS80(測地基準系1980)の楕円体を使用して表します。標高については、現在と同様に東京湾平均海面を基準に表します。 |
測地成果2000とGPSで採用している座標系 | GPSで採用しているWGS84系は測地成果2000の算出基準となっているITRF系に接近し、現在両者の変換パラメ-タは1cm以下と言われている。このため、両者は実用上同一と見なして差し支えない。 |
平面直角座標系 | 日本国内の測量座標系で、国内を19分割して、地球の球体ではなく平面で表す座 標である。 |
工事基準点】 | 監督職員より指示された基準点を基に、受注者が施工及び施工管理のために現場及びその周辺に設置する基準となる点をいう。 |
標定点 | 空中写真と測量の基準となる基準点および工事基準点と対応付けするために必要となる位置座標を持つ点であり、基準点あるいは、工事基準点上といった既設点や、基準点および工事基準点を用いて測量した座標値を用いる。空中写真測量(UAV)の計測結果を現場座標系に変換するために使用する位置座標。レーザースキャナー(LS)計測の場合は、相対形状を3次元座標に変換する際に用いる座標点。基準点あるいは工事基準点と対応付けするために、基準点あるいは工事基準点からTS等によって測量する。 |
検証点 | 空中写真によって取得した位置座標の計測精度を確認するために必要となる位置座標を持つ点であり、基準点あるいは、工事基準点上といった既設点や、基準点および工事基準点を用いて測量した座標値を用いる。空中写真測量(UAV)の計測精度を確認するために、検証点における空中写真測量の算出結果と真値となる既知点あるいは測量した座標値を比較する。なお、検証点は、空中写真測量から得られる位置座標の確認に利用するため、空中写真測量の標定点としては利用しない点となる。 |
後方交会法 | 出来形管理用TS等を工事基準点上でなく任意の未知点に設置し、複数の工事基準点を観測することにより出来形管理用TSの設置位置(器械点)の座標値を求める方法。 |
●衛星測量関連
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(衛星測量関連) | |
GNSS | GNSS(Global Navigation Satellite System)は汎地球測位航法衛星システムを指す もので、米国の人工衛星(GPS)に限定することなく、他国の衛星も利用して測位情 報を求めるシステムのことであり、GPS以外の代表的な衛星は、GLONASS(露)、 Galileo(EU)、BeiDou(北斗)、準天頂衛星(日本)などがある。 |
GPS | GPS(Global Positioning System)は全地球測位システムを指すもので、アメリカ国 防総省が管理する人工衛星NAVSTAR)からの信号を解析して地球上の位置を座標を特定するシステム。 |
GLONASS | ロシア連邦によって運用される衛星測位システム。 |
BeiDou(北斗) | 中華人民共和国が構築中の衛星測位システム。 |
GALILEO | EUが構築中の衛星測位システム。 |
準天頂衛星(QZSS) | 日本が構築中の衛星測位システム。8の字の軌道で周回し、衛星が天頂付近にいる時間が長いようにしているため、屋外の遮蔽物が多くても運用しやすい。 |
RTK-GNSS | リアルタイムキネマティックGNSS測量の略で、既知点からの補正観測情報を携帯電話や無線を利用して移動局に送信し、移動局の位置をリアルタイムで測定する方法をいう。精度は数cm程度 |
ネットワーク型RTK-GNSS | RTK-GNSSの同類。但し専用の基地局を設置せずに、GNSS受信機一台でRTK測位を行うことが出来る。補正情報は電子基準点からの情報を元に、補正情報提供会社が配信している。 |
VRS | ネットワーク型RTKの一種。観測現場近くに仮想的な基準局を設け、RTK測位を行う手法 |
FKP | ネットワーク型RTKの一種。基準局の面補正パラメータを用い、RTK測位を行う手法 |
電子基準点 | 国土地理院が管理する全国約1,300カ所に設置されたGNSS連続観測点。常に衛星からの電波を受信しており、測量の基準点や地殻変動の監視に利用されている。 |
仮想基準点 | 複数の電子基準点からの情報を元に、測量する現場などに仮想的に置かれる基準点。 |
基準局 | RTK-GNSS測位環境での基準局は、測位実施中に移動することなく、常に同じ場所で衛星信号を受信して解析する機器側を指すもので、この基準局から測位を実施する移動局へ向けて補正情報を無線通信する。 |
移動局 | RTK-GNSS測位環境での移動局は、常に移動しながら測位解析を実施する機器側 を指すもので、基準局からの補正情報を測位解析に加えることで測位精度が向上 する。 |
補正データ | RTK測位を行う際に、すでに座標がわかっているポイントに据えられたGNSS受信機を基準局とし、移動しながら観測したい移動局に送信して精度を向上させるためのデータ。基準局や配信会社より提供する。 |
ローカライゼーション | GNSS測位を利用する場合、衛星測位解析結果を現場の工事基準点座標と整合するように補正する作業(ローカライゼーション)が必要となる。ローカライゼーションは、施工範囲を包括する工事基準点について実施する。 |
単独測位 | 1つの受信機で同時に4個以上のGPS衛星からの電波を受信し、各衛星からの距離を算出して測位する方法。精度は5m~10m程度。 |
相対測位 | 単独測位ではなく。ディファレンシャル測位と干渉測位をいう。 |
ディファレンシャル測位 | 複数の受信機で単独測位を行ってそれぞれの位置情報から相対位置を求める |
干渉測位 | 2つの受信機からある衛星までの距離の差(行路差)を搬送波の位相を使ってもとめ、基線ベクトルを決定する計測方法 |
スタティック測位 | 複数の受信機で4個以上の衛星を長時間観測し、衛星の時間的位置変化を利用して整数値バイアスを決定する。したがって、計測には概ね1時間以上の観測時間を要しますが、精度は最も良い計測手法。 |
キネマティック測位(RTK測位) | RTKでは観測開始時に整数値バイアスを決定(初期化という)し、以後は受信機間で無線や携帯電話などを利用して観測データの交信を行い、即時に解析処理を行う。 |
ジオイド | 世界の平均海面を0メートルとした時の高低差を標高というが、実際の水面は不均一な重力の影響を受けるため、上下方向に不均一な曲線を描いている。こうした「重力の等ポテンシャル面」を「ジオイド」と呼ぶ |
FIXとFLOAT | FIX:干渉測位などで整数値バイアスが決まった状態、FLOAT:Fixする前の状態や衛星の途切れなどでFIXが外れた状態 |
マルチパス | GNSS衛星から送信された電波が建物や地形などの障害によって反射・回折し、受信機が複数の経路から同じ電波を受信してしまうこと。多重波伝送路とか遅延波とも言われる。誤差要因の一つ |
DOP値 | 精度低下率のこと。DOP(Dilution Of Precision)とは、衛星の幾何学的配置による測位精度低下の指数で、値が大きいと影響が大きく精度が低下する。 |
●空中写真測量など
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(空中写真測量ソフト) | |
空中写真測量 | 空中写真測量は、航空機などを用いて上空から撮影された連続する空中写真を用いて、対象範囲のステレオモデルの作成や地上の測地座標への変換等を行い、地形や地物の3次元の座標値を取得可能な作業のこと。 |
レーザープロファイラー | レーザーを連続して照射し、対象物に反射して戻ってくる時間と照射角度から、地形や構造物の形状を広い範囲で面的に計測できる装置。 |
レーザースキャナー(LS)[LS] | LSはレーザースキャナーの略。1台の機械で指定した範囲にレーザーを連続的に照射し、その反射波より対象物との相対位置(角度と距離)を面的に取得できる装置のことである。TSのようにターゲットを照準して計測を行わないため、特定の変化点や位置を選択して計測することができない場合が多い。 |
UAV(無人航空機、ドローン) | UAV(無人航空機)は、人が搭乗することなく飛行できる航空機であり、固定翼タイプや回転翼タイプが存在する。自律制御あるいは、地上からの遠隔操作によって飛行することができ、無人航空機にデジタルカメラを搭載することで、空中写真測量に必要となる写真を空中から撮影することができる。回転翼タイプのうち近年多用されるマルチロータ型のUAVは飛行する時の音が、蜂の羽音に似ていることから英語でそれを示す「ドローン」とも呼ばれる。 |
無人航空機の飛行ルール | 空港などの周辺、人口集中地区の上空、150メートル以上の高さの空域など、地上の人などに危害を及ぼすおそれが高い空域において、無人航空機を飛行させる場合には、あらかじめ、国土交通大臣の許可を受ける必要がある。ほかに地方自治体などが独自のルールを定めていることもある。 |
MMS(モービル・マッピング・システム) | 車両などに計測機器を搭載し、走行しながら対象物の形状などを3次元データで取得するシステム。 |
カメラキャリブレーション | デジタルカメラなどのレンズ焦点距離といった内部パラメータ、カメラの位置や姿勢を表す外部パラメータ、レンズの歪収差係数を求めて、画像を補正する処理 |
ラップ率 | 空中写真測量を行う時に、UAVで連続して撮影する1枚ごとの写真の重複率のこと。 |
グリッドデータ | 格子状になった標高データのこと。数値標高モデル。 |
点群データ | 3次元の座標を持った点の集まり。写真測量やレーザースキャナーなどで取得する。ポイントクラウドともいわれる。 |
出来形計測個所 | 3次元設計データと、写真測量やレーザースキャナーで取得した出来形管理のデータを比較するときに天端や法面の面に対して管理を行う。その計測個所。 |
出来形管理帳票 | 出来形評価用データと3次元設計データとを比較し、標高差を着色したヒートマップとして表現する。全点数の内0.3%は棄却可能。規格値±80%、±50%を表現する。出来形合否判定総括標ともいわれる。 |
ヒートマップ | 個々の値のデータを色として表す可視化グラフの形式。出来形管理では、設計データと評価用データの差分を色であらわす。 |
●空中写真測量ソフト
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(空中写真測量ソフト) | |
3次元設計データ作成ソフト[3次元設計データ作成ソフトウェア] | 3次元設計データ作成ソフトウェアは、出来形管理や数量算出の基準となる設計形状を示す3次元設計データを作成、出力するソフトウェア。 |
写真測量ソフト[写真測量ソフトウェア] | 撮影した空中写真から空中写真測量および3次元図化を行い、地形や地物の座標値を算出するソフトウェア。 |
点群処理ソフト[点群処理ソフトウェア] | 空中写真測量で算出した地形の3次元座標点群から樹木や草木、建設機械や仮設備等の不要な点を除外するソフトウェア。また、整理した3次元座標の点群を、さらに出来形管理基準を満たす点密度に調整したポイントデータ、及び当該点群にTINを配置し、3次元の出来形計測結果を出力する。 |
LSを用いて計測した3次元座標点群から樹木や草木、建設機械や仮設備等の不要な点を除外するソフトウェア。また、整理した3次元座標の点群を、さらに出来形管理基準を満たす点密度に調整したポイントデータ、および当該点群にTINを配置し、3次元の出来形計測結果を出力する。 | |
出来形帳票作成ソフト[出来形帳票作成ソフトウェア] | 3次元設計データと出来形評価用データを入力することで、設計面と出来形評価用データの各ポイントの離れの算出と良否の判定が行える情報を提供するとともに、計測結果を出来形管理資料として出力することができる。 |
出来高算出ソフト[出来高算出ソフトウェア] | 起工測量結果と、3次元設計データ作成ソフトウェアで作成した3次元設計データ、あるいは、点群処理ソフトウェアで算出した出来形結果を用いて出来高を算出するソフトウェア。 |
●TSソフトウェア
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(TSソフトウェア) | |
基本設計データ作成ソフトウェア | の紙図面等から判読できる道路中心線形又は法線、横断形状等の数値を入力することで、施工管理データのうちの基本設計データを作成することができるソフトウェアの総称。 |
出来形管理用TSソフトウェア | 出来形管理用TSの情報機器(データコレクタ、携帯可能なコンピュータ)に搭載されたソフトウェア。基本設計データを入力することで、現場において効率的に出来形計測が行える情報を提供すると共に、計測結果を施工管理データ(基本設計データと出来形計測データの XML 形式)として出力することができる。出来形管理用TSソフトウェアは、「出来形管理用トータルステーション機能要求仕様書」に規定する機能を有していなければならない。 |
出来形帳票作成ソフトウェア | 基本設計データと出来形計測データから、出来形帳票の自動作成と出来形管理データ(PDF ファイル)及び施工管理データ(XML ファイル)※1の出力が可能なソフトウェアの総称。 ※1 同一点で複数回計測した出来形計測データを持つ場合は、帳票作成に用いるデータを選定し、また、計測座標値とセットの出来形管理箇所(法肩、法尻等)が間違っている場合は修正し、最終成果として出来形帳票を作成する為に使用したもの。 |
●電子成果品
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(電子成果品) | |
オリジナルデータ | 使用するソフトウェアから出力できるデータのことで、使用するソフトウェア独自のファイル形式あるいは、オープンなデータ交換形式となる。例えば、LandXML は、2000 年1月に米国にて公開された土木・測量業界におけるオープンなデータ交換形式。 |
3次元設計データ | 3次元設計データとは、道路中心線形又は法線(平面線形、縦断線形)、出来形横断面形状、工事基準点情報及び利用する座標系情報など設計図書に規定されている工事目的物の形状とともに、それらをTINなどの面データで出力したもの。 |
【3次元設計データの構成要素】 | 3次元設計データの構成要素は、主に、平面線形、縦断線形、横断面形状であり、これらの構成要素は、設計成果の線形計算書、平面図、縦断図及び横断図から仕上がり形状を抜粋することで、必要な情報を取得することができる。3次元設計データは、これらの構成要素を用いて面的な補間計算を行い、TINで表現されたデータである。図に3次元設計データと作成するために必要な構成要素を示す。 |
出来形管理資料 | 3次元設計データと出来形評価用データを用いて、設計面と出来形評価用データの各ポイントとの離れ等の出来形管理基準上の管理項目の計算結果(標高較差の平均値等)と出来形の良否の評価結果、及び設計面と出来形評価用データの各ポイントの離れを表した分布図を整理した帳票、もしくは3次元モデルをいう。 |
●検査・管理
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(検査・管理) |
●TSによる出来形管理
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(TSによる出来形管理) | |
基本設計データ【基本設計データ(XML ファイル) | TSを用いた出来形管理の、出来形管理用TSに搭載する設計データで、構造物の 三次元設計データの他に、出来形管理用データ等で構成される。データは共通仕様とされ、XMLフォーマット形式とされている。 |
基本設計データとは、設計図書に規定されている工事目的物の形状、出来形管理対象項目、工事基準点情報及び利用する座標系情報などのことである。また、施工管理データから現場での出来形計測で得られる情報を除いたデータである。基本設計データの幾何形状とは、設計成果の線形計算書、平面図、縦断図及び横断図から仕上がり形状を抜粋し、3 次元形状データ化したもので、(1)道路中心線形又は法線(平面線形、縦断線形)、(2)出来形横断面形状で構成される。 | |
出来形計測データ【出来形計測データ(XML ファイル) | TSを用いた出来形管理に従って、出来形管理用TSで管理箇所を計測した結果の データで、このデータは基本設計データに追記される。出来形管理用TSで計測した 3 次元座標値及び計測地点(法肩や法尻など)の記号を付加したデータのことをいう。出来形計測データと基本設計データとの対比により、出来形管理を行う。出来形計測対象点の記号は、基本設計データ作成時に作成者により図 1-6 のように設定され、出来形計測時は出来形管理用TS上でこれを選択して利用する。 |
データ交換標準 | TS出来形管理の、基本設計データや施工管理データなどの仕様を規定しているも ので、国総研のTS出来形情報提供サイトで公開している。 (http://www.nilim.go.jp/ts/) |
空中写真測量(UAV)を用いた出来形管理 | UAV(無人航空機)を用いて被計測対象の地形の空中写真を撮影し、空中写真測量による3次元の形状の取得を行うことで、出来形や数量を面的に把握、算出する管理手法。 |
●電子ファイル関連
JCMA解説用語案 | 意味 |
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(電子ファイル関連) | |
TIN(不整三角網)【TIN】 | TIN(不等辺三角網)とは Triangular Irregular Network の略。TINは、地形や出来形形状などの表面形状を3次元座標の変化点標高データで補間する最も一般的なデジタルデータ構造で、多くの点を3次元上の直線で繋いで三角形を構築する。 |
【起工測量計測データ(TINファイル) | 空中写真測量やLSで計測した計測点群データから不要な点を削除し、不等三角網の面の集合体と して着工前の地形としての面を構築したデータのことをいう。数量算出に利用する。 |
【岩線計測データ(TINファイル) | 空中写真測量やLSで計測した計測点群データから不要な点を削除し、不等三角網の面の集合体として岩区分境界としての面を構築したデータのことをいう。数量算出に利用する。 |
【出来形計測データ(TINファイル) | 空中写真測量やLSで計測した計測点群データから不要な点を削除し、不等三角網の面の集合体として出来形地形としての面を構築したデータのことをいう。数量算出に利用する。 |
SXF | 国土交通省が進めるCALS/ECを推進する上で重要となる、CADデータの高度利用 を目的として定められたCADデータ交換標準の形式で、レベル1からレベル4まで 設定されており、レベル2が二次元CADの要求を満たし、レベル4が三次元CADの 要求を満たすもの。 |
P21 | SXFに準拠するCADデータのフォーマット形式で、電子納品データとして利用され る。また、P21はSTEP/AP202に準拠した国際的に通用する形式となっている。 |
sfc | SXFに準拠するCADデータのフォーマット形式で、電子納品以外のデータ交換時に 利用される国内規格のフォーマット。 |
DWG | Autodesk社(米)が提供するCADソフト「AutoCAD」およびそのシリーズにおける標 準的なファイルフォーマット形式。 |
DXF | Autodesk社(米)が提供、公開するCADフォーマット形式で、AutoCADのバージョン やCADソフトが異なる場合のデータ交換に利用することを目的に作成された形式。 |
ポリライン | 連続線データのこと。TINデータは不等辺の三角形で立体をあらわすが、連続線にデータを持たせることで容量を減らすことができる。 |
サーフェス | 3次元CADで設計したデータは、サーフェス系とソリッド系に分けられる。サーフェス系は、立体が空洞で表面だけの形状を持ち、ソリッド系は中身が詰まった状況のデータをあらわす。 |
SIMAデータ | 座標や路線、区画データを電子データのままやりとりできるように定められた電子データの書式。測量機器やCADソフト間で観測データの受け渡しをする際に利用される。測量データ共通フォーマット。 |
XML | 文章やデータなど個別の目的に応じたPC言語のひとつで、「タグ」と呼ばれる形式 で構成されており、汎用的に使用することができるデータ形式である。XMLは 「Extensible Markup Language」の略称で、JIS訳語は「拡張可能なマーク付け言語」 とされている。 |
LandXMLとLandXML1.2 | 国土交通省の道路事業、河川事業の設計及び工事において、i-ConstructionやCIMで必要となる交換すべき3次元設計データの形式を定めたものとして「LandXML1.2に準じた3次元設計データ交換標準(案)」を公開した。 |
LandXML | 土木分野における設計・測量データのデータ交換標準を目指して、2009年に国際 的な664の組織が参加して策定されたXML規格であるが、2012年より活動を休止 している。日本国内では、三次元設計CADデータの交換仕様として利用されること が多い。 |
計測点群データ(ポイントファイル) | 空中写真測量で計測した地形や地物を示す3次元座標値の点群データ。CSV や Landxml などで出力される点群処理ソフトウェアなどでのデータ処理前のポイントのデータ。 |
LSで計測した地形や地物を示す3次元座標値の計測点群データ。CSV や Landxml などで出力される点群処理ソフトウェアなどでのデータ処理前のポイントのデータ。 | |
出来形評価用データ(ポイントファイル) | 空中写真測量で計測した計測点群データから不要な点を削除し、さらに出来形管理基準を満たす点密度に調整したポイントデータである。専ら出来形の評価と出来形管理資料に供する。 |
LSで計測した計測点群データから不要な点を削除し、さらに出来形管理基準を満たす点密度に調整したポイントデータである。専ら出来形の評価と出来形管理資料に供する。 | |
DMデータ | 国土交通省公共測量作業規程で規定されている、公共測量の計画機関において作成された数値地形図データ。 |
拡張DMデータ | DMデータファイルで応用測量の測量成果を電子納品するために、規定されていない部分を含めるため、DMデータファイル仕様を「拡張ディジタルマッピング実装規約(案)」として平成16年5月国土地理院から公開したもの。 |
道路中心線形データ | 国土交通省が進める、CALS/EC推進計画の”三次元情報利活用促進と、設計・施 工管理の高度化”の実現に向けて、道路の三次元設計情報の骨格をなす道路中 心線形(平面線形、縦断線形)データの交換標準が定められたもので、道路設計等 に関わる業務においては、納品が求められる電子データ。 |
【道路中心線形】 | 道路の基準となる線形のこと。平面線形と縦断線形で定義され、3次元設計データの構成要素の1つとなる。 |
【測点】 | 工事開始点からの平面線形上での延長距離の表現方法のひとつで、縦断計画高や構築形状の位置管理などに用いられる。(ex:No.20+12.623) |
【累加距離標】 | 路線等に沿った始点からの水平距離(標)。各測点間の距離(短距離)を順次合計していき、追加距離を加えることで、各点における累加距離標を求める。 |
【法線】 | 堤防、河道及び構造物等の平面的な位置を示す線のこと。平面線形と縦断線形で定義され、3次元設計データの構成要素の一つとなる。 |
【平面線形】 | 平面線形は、道路中心線形又は法線を構成する要素の1つで、道路中心線形又は法線の平面的な形状を表している。道路中心線形の場合、線形計算書に記載された幾何形状を表す数値データでモデル化している。平面線形の幾何要素は、道路中心線形の場合、直線、円曲線、緩和曲線(クロソイド)で構成され、それぞれ端部の平面座標、要素長、回転方向、曲線半径、クロソイドのパラメータで定義される。 |
【縦断線形】 | 縦断線形は、道路中心線形又は法線を構成する要素の1つで、道路中心線形又は法線の縦断的な形状を表している。縦断形状を表す数値データは縦断図に示されており、縦断線形の幾何要素は、道路中心線形の場合、縦断勾配変位点の起点からの距離と標高、勾配、縦断曲線長又は縦断曲線の半径で定義される。 |
【出来形横断面形状】 | 平面線形に直交する断面での、土工仕上がり、法面等の形状である。現行では、横断図として示されている |
【色データ】 | デジタルカメラを併用することにより、LSによる計測時に撮影した写真から計測点群データに色データを付与することができる。点データに色を付けることによって、計測対象物を目視により識別することが可能となり、点群処理時の不要点排除などの判断に有効。 |